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2020年 10月号

 

商標・デザイン侵害、アイデア奪取に対する3倍賠償導入など知的財産保護法が国会を通過


(商標法・デザイン保護法・不正競争防止法・特許法の改正:2021年4月施行)
 
商標法、デザイン保護法、不正競争防止法および特許法の改正案が国会を通過して、2021年4月から施行されます。
以下、その要旨をまとめてみました。
 
1. 商標およびデザイン権侵害に対する3倍賠償制度の導入
商標法およびデザイン保護法が改正され、故意に商標権やデザイン権を侵害した場合、損害と認められた金額の最大3倍まで賠償するようにする懲罰的賠償制度が導入されます。2018年に特許法と不正競争防止法に導入された特許権または営業秘密の侵害に対する懲罰的損害賠償制度を商標とデザイン分野にまで拡大することになります。
 
2. 商標権およびデザイン権の侵害に対するロイヤリティ算定基準の改正(「通常」→「合理的」)
  商標権とデザイン権侵害の際、ロイヤリティによる損害額の算定基準を「通常受けることができる金額」から「合理的に受けることができる金額」に改正しました。今後、ロイヤリティ認定料率が上昇すると予想されます。
 
3. 商標権侵害に対する法定損害賠償額の引き上げ(5千万ウォン→1億ウォン、故意の場合3億ウォン)
  2011年商標法に導入された法定損害賠償制度の上限を5千万ウォンから1億ウォン(故意に侵害した場合には、3億ウォン)に引き上げました。これは制度導入以降、韓国内の商品取引市場の拡大、物価上昇の要因等を考慮し、3倍賠償制度と共に商標権保護の実効性を高めるためのものです。
損害賠償請求は、商標権者が侵害と損害額を証明しなければならないが、法定損害賠償は、侵害さえ立証すれば、裁判所が法定額内で損害額を算定することができる制度であって、商標権者の立証責任を緩和したものです。
 
4. アイデア奪取行為による損害に対して、最大3倍まで補償するようにする懲罰賠償制度の導入
 不正競争防止法が改正され、アイデア奪取行為による損害に対して、最大3倍まで補償するように規定されました。また、不正競争行為に対して是正勧告に従わなかった場合、違反の事実を公表することができるようにし、行政調査と是正勧告の実効性を高めるようにしました。
 
5. 特許侵害罪を親告罪から反意思不罰罪に転換
被害者の告訴がなくても、特許権侵害行為に対する処罰ができるようにする特許法改正案が国会を通過しました。現行の特許法上の特許侵害罪は、特許権者の告訴がなければ、特許権侵害の捜査ができない「親告罪」に当たり、侵害行為があった日から6ヶ月以内に告訴しなければなりません。
改正法では、特許侵害罪が特許権者の告訴がなくても、職権捜査が可能な「反意思不罰罪」に改正されました。ただし、反意思不罰罪は、権利者が侵害者の処罰を望まない場合、起訴することができません。
 
  今まで知的財産権侵害が根絶できていない理由について、知的財産に係る対価を支払うよりも侵害を通じて得る利益が大きいからだという指摘が多くありました。知的財産保護の実効性を強化するため、特許侵害に先に導入された「懲罰賠償」制度を商標およびデザイン侵害、アイデア奪取行為にまで全方位的に適用するようになれば、知的財産全般の保護レベルがより一層高くなると考えます。
 
  キム・ヨンレ特許庁長は「今回の改正で、知的財産権侵害に対する厳正な法執行が可能となることにより、今後、市場で知的財産が正当な対価をもらい公正に取引され得る基盤が固められた。」としながら「今回の改正をサポートできるように、特許法に先に導入された『損害額算定方式の改善』はもちろん、『中小企業の特許保護の証拠収集制度の導入』も速やかに推進する」と述べました。
 
 
 

 

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