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特許庁は、特許拒絶理由通知書に対する意見書・補正書の提出期間を従来の2カ月から4カ月へと延長し、分割出願に対する審査猶予を許容する、特許法施行規則の改正案を、2025年7月11日より施行すると発表した。 改正事項①:意見書・補正書の提出期間を延長(従来の2カ月から4カ月へ) 韓国における意見書・補正書の提出期間は、海外の主要国[米国・日本:3カ月、中国・欧州:4カ月]より短いため、提出期間内に意見書を準備できない出願人は、毎月、期間延長の申請を行わなければならず、別途の手数料も負担していた。これを解決するために、意見書・補正書の提出期間を従来の2カ月から4カ月へと延長した。 提出期間よりも早く意見書・補正書が準備できた場合には、意見書・補正書とともに期間短縮申請書を提出することで、迅速に審査結果を受け取ることができる。 改正事項②:分割出願に対する審査猶予申請を許容 通信・製薬・バイオなどの一部の技術分野においては、製品の商用化などに相当な時間がかかるため、戦略的に審査を遅らせたいと考える出願人が増えている。今回の改正により、分割出願に対しても審査猶予申請が可能となる。
2025年7月22日より、韓国で公告された商標に対する異議申立期間が、従来の2カ月から30日へとほぼ半分に短縮されます。異議申立期間が非常に短くなるため、韓国において侵害リスクのある商標に対するモニタリングをより一層強化する必要があります。特に、この異議申立期間の短縮は、公告日を基準に、2025年7月22日付にて公告された商標から適用される点に留意しなければなりません。 今回の異議申立期間の短縮により、商標出願の審査期間が約1カ月短縮される効果が予想されます。韓国では、最初の審査結果が出るまで、2019年には6カ月しかかかりませんでしたが、商標出願の増加により2024年末には13カ月に延び、審査の遅延が問題点として指摘されてきました。特許庁は、審査の迅速化に取り組み、2025年5月末現在、審査期間が約12カ月となっておりますが、今後は、1年以内に短縮される可能性があります。 仮に30日の異議申立期間が既に経過している場合、正当な権利者は、情報提供の手続きを通じて、公告された商標の拒絶理由を主張することができます。しかしながら、異議申立期間終了後、約1カ月以内に登録決定が出されるため、正当な権利者は速やかに情報提供を行わなければなりません。なお、模倣商標が既に登録されている場合には、特許審判院に無効審判を請求して、その登録を消滅させることができます。 一方、出願人の立場からは、1年以上かかる審査期間を、優先審査を申請することで、約2カ月に短縮することができます。但し、優先審査を申請するためには、出願商標の使用計画説明書を併せて提出しなければならず、約120米ドルの庁手数料も追加で納付する必要があります。
韓国で特許権が登録された製品を海外の電子商取引プラットフォームに掲載した行為は、韓国特許の侵害に該当するという特許法院の判決が下された。特許法院は、国外にサーバーを有するオンラインプラットフォームへの掲載行為であっても、韓国の特許法の適用対象となることを認めたのである。 特許法院の特許第21部は、2025年5月22日、イタリアの法人である原告(Lonati S.p.A)が中国の法人である被告(zhejiang yexiao knitting machinery)を相手取って提起した特許権侵害差止請求訴訟(2023ナ10693)において、原告の請求を受け入れ、被告の特許侵害を認めた。 原告は、韓国において靴下編み機の特許登録を完了しており、被告は、中国で類似した機械を生産し、アリババ(Alibaba)及び自社のホームページに掲載して広告・販売してきた。 そこで、原告は、この機械が自社の特許発明の権利範囲に含まれるものであり、被告のこのようなインターネット上での掲載及び販売行為が特許法上の「譲渡の申出」に該当すると主張した。特許法は、特許権の実施の形態の一つとして「譲渡の申出」を規定している。 特許法院は、「たとえ被告が中国の電子商取引プラットフォームであるアリババ(Alibaba)及び中国内にサーバーを有する自社のホームページで広告・販売しているとしても、被告の該当行為は、韓国内の消費者を直接的な対象とした販売誘導行為に該当する」と述べた。そして「これは特許法上の特許権の実施行為の一つである『譲渡の申出』に該当するため、原告の特許権を侵害したものである」と判断し、原告の差止請求を認容した。 特許法院は、被告の行為が実際に韓国の特許権を侵害しているか否かを判断するために、△ウェブサイトにおいて韓国語で商品情報を提供しているのか、△韓国で注文及び配送が可能であるのか、△韓国ウォンでの決済が可能であるのか、△国内消費者のための問い合わせ・相談窓口が設けられているのか、△特許権侵害を回避するための努力があったかなどを審理したと述べた。 今回の判決は、国外のオンラインプラットフォームや国外のサーバーを基盤とするホームページに特許侵害製品を掲載した場合であっても、それが韓国の需要者や消費者を対象とする場合には、韓国特許法において特許侵害と規定される「譲渡の申出」に該当し得ることを明確にした判決であると評価されている。 特許法院の関係者は、「特許法院は、この判決を準備する過程で、特許法院の国際知的財産権法研究センターが行った比較法的研究の結果に基づいて、類似した争点の海外事例を忠実に検討することができた」とし、「今回の判決は、特に世界中でアクセス可能なオンラインプラットフォームを通じた商取引が一般的になっている現実を反映し、オンライン取引環境における知的財産権侵害に効果的に対応できる基準を提示したという点で意義がある」と述べた。
韓国特許法施行規則が改正され、2024年11月1日から提出する特許出願の願書(分割出願を含む)には、発明者の国籍、居住国、生年月日を記載すべきであり、「居住国」は発明者の住所に記載されている国とみなされ、「生年月日」の記載は選択事項であり、「発明者の国籍」の記載は必須事項となります。 従いまして、今後出願ご依頼の際には、発明者様の「国籍」も共にご教示賜りますようお願い申し上げます。
2024年5月1日から施行される共存同意制度は、幅広く運営されるものとみられる。特許庁が2024年1月25日に開催した説明会で共存同意制度の大枠がわかった。 1)共存同意制度が適用される商標の範囲は? - 類似の商標が共存同意の対象である。標章が厳格に同一でない商標も類似の商標として共存同意が適用される。すなわち、文字が一致しても図形や記述的標章が組み合わされた商標は、共存同意を通じて登録を受けることができる。 2)共存同意書はいつ提出すれば良いのか? - 共存同意書は意見書提出期間に提出すれば良い。すでに拒絶決定になった場合、拒絶決定不服審判を請求し、審理が終結する前まで共存同意書を提出することができる。2024年5月1日基準で拒絶決定が確定していない商標なら、共存同意による登録が可能。 3)指定商品の一部のみ共存同意を得るとしたら? - 共存同意を受けた商品に対してのみ登録を受けることができる。共存同意を受けられなかった商品は、部分拒絶決定が出される。ちなみに、部分拒絶制度は2023年2月4日付の出願から適用され、それ以前に出願した商標は拒絶理由が全て解消されなければ指定商品全てに対して拒絶決定が出される。 4)共存同意書はどのように作成すべきか? - 共存同意の必須事項のみ含まれれば良い。すなわち、出願商標と先行商標の出願/登録番号、各権利者の名称と住所、共存同意の指定商品の範囲(全部または一部)が特定されれば、共存同意書は受け入れられるはずである。なお、共存同意の期間は任意に制限することはできない。 5)類似の商標が共存同意を得たかどうかをどうやって確認する? - 出願商標の商標公報と先行商標の登録原簿に共存同意の事実が記載される。
類似商標共存同意(コンセント)制度が2024年5月1日から韓国で施行されます。共存同意制度を導入した商標法改正案が2023年10月31日公布され、6ヶ月後から施行されることが確定しました。特に、共存同意制度は、現在審査中の商標であって2024年5月1日に拒絶決定がされていない場合にも適用されます。もし2024年5月以前に先行商標と類似するという理由で拒絶決定を受けることになれば、特許審判院に拒絶決定不服審判を請求することをご検討下さい。先行商標権利者から共存同意書を得ることができれば、特許審判院に共存同意書を提出する方法で、先行商標と類似するという拒絶理由を解消することができるためです。 また、共存同意制度は商標が同一であり、その指定商品が同一の場合には適用されません。逆に言えば、商標は同一であっても、その指定商品が同一でなく類似する場合、またその指定商品は同一であっても商標は同一でなく類似する場合には、共存同意制度が適用できると解釈されます。この場合、文字部分は同一であっても識別力のある図形が追加された商標は同一の商標とみなさず、共存同意書が受け入れられるものと予想されます。ただし、より詳細な内容は、2024年3月頃に出る予定の審査基準を確認する必要があります。 また、共存同意により登録された商標がその後不正な目的で使用され、需要者に混同を起こす場合には、取り消し審判を請求してその商標登録を取り消すことができるという規定が商標法に追加されました。したがって、共存同意契約書に需要者の混同防止に関する内容を含ませる必要があります。 韓洋特許法人は共存同意制度に関する審査基準が公開されれば、再びニュースレターをお送りいたします。共存同意制度に関してご不明な点等ございましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さいませ。
韓国では、類似商標共存同意制度を導入することに商標法が改正された。従来は出願商標が先行商標と類似していれば韓国で商標登録を受けることができなかったが、2023年10月6日に国会を通過した改正商標法では、先行商標権者の共存同意書を提出することで、類似の後願商標が登録を受けられるようになった。ただし、商標も同一で商品も同一の場合には、共存同意書があっても商標登録を受けることができない。 特に、共存同意制度は、旧法の下で出願され改正法が施行される時点で未だ登録可否が決定されていない商標出願に対しても適用されることにより、その施行時期が実質的に大きく繰り上げられるという点に注目する必要がある。慣例的に見れば、2023年10月に通過した改正法は約1ヶ月後の2023年11月に公布され、6ヶ月後の2024年5月から効力が発生すると予想される。 もし現時点で韓国商標出願が先行商標と類似しているという理由で拒絶された状態であれば、2ヶ月の意見提出期間後に4ヶ月の期間延長(1ヶ月ずつ4回)をする方法で審査時期を遅延させることができ、その後改正法の共存同意制度の適用を受けて商標登録を受けることが可能になる。ただし、マドプロ国際出願の場合には期間延長が2ヶ月のみ許されるため、別途意見書を提出して審査を最大限遅延させながら、情報提出により共存同意書を提出する方策を試みる必要がある。 一方、同一商標を同一商品に対し登録を受ける場合には共存同意制度は適用されないが、同一商標と同一商品の範囲をどのように判断するかについては、今後改正される審査基準を見なければならない。改正法による審査基準は、改正法が施行される1、2ヵ月前の2024年3、4月には設けられるものと予想される。 ≪韓洋特許法人は共存同意制度の正確な施行時期と審査基準内容などについて、今後も引き続きニュースレターで対応戦略を提供する予定です。共存同意制度に関してご不明な点がございましたら、ご遠慮なくご連絡の程宜しくお願い致します。≫
韓国特許庁は2023年7月28日付で「特許料等の徴収規則」を改正した。 主な内容は以下の通りである。 1.特許登録料が約10%引き下げられる。設定登録料(最初の3年分の登録料)は登録決定日が2023年8月1日以降の特許に適用され、維持年金(4年目以降の登録料)は納付日が2023年8月1日以降の特許に適用される。 2.特許審査請求料が約16%引き上げられる。2023年8月1日以降の特許出願に適用される。 3.特許分割出願について加算料が導入される。分割出願の出願料は46,000ウォン(約USD40)で新規の特許出願の出願料と同一だが、2回目の分割出願に対しては新規出願料の2倍、3回目の分割出願に対しては新規出願料の3倍、4回目の分割出願に対しては新規出願料の4倍、5回以上の分割出願に対しては新規出願料の5倍を賦課する。2023年8月1日から適用される。 4.商標登録出願料、再審査請求料、設定登録料、指定商品追加登録料、存続期間更新登録料がそれぞれ10,000ウォン(約USD8.7)引き下げられる。 1商品類当たり指定商品の加算金賦課基準が現行の20個超過から10個超過に変更される。超過した指定商品ごとに1つ当たり2,000ウォン(約USD1.7)の加算金は同じ。2023年8月1日以降の出願から適用される。
改正された不正競争防止法が2022年6月8日から施行されることにより、有名芸能人、スポーツ選手の顔と名前などが保護される。パブリシティ権とは、肖像、氏名などが持つ経済的な価値を商業的に利用できる権利をいう。例えば、BTS、ソン・フンミンなど有名人の肖像・氏名などを同意なしに無断で使用する行為は不正競争行為に該当することになる。 国内に広く知られており、経済的な価値を持つ氏名、肖像、音声、署名など、特定の人を識別できる標識は法的保護の対象となる。このような人的標識を公正な商取引の慣行や競争秩序に反する方法で無断使用して他人の経済的利益を侵害する場合、不正競争行為と認められるというものである。 無断使用で経済的被害が発生する場合、被害者は損害賠償及び不正競争行為禁止等を請求できるようになり、特許庁に行政調査を申請して特許庁による是正勧告及び公表も可能となる。 新しい不正競争防止法は、最近、BTS、イカゲーム、パラサイト 半地下の家族など韓国の文化コンテンツが世界市場に広がっている状況で、エンターテインメント業界従事者の投資と努力の結果である有名人の肖像なども保護しなければならないという趣旨で改正されたものだ。 新しい法の施行により、有名人の肖像・氏名等の無断使用行為及びファン向け商品(アイドルグッズなど)市場の不法製品販売などに対して実効性のある制裁がなされるものと期待される。
データの不正取得·使用行為及び有名人の肖像·氏名等の無断使用行為を不正競争行為と規定した不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律が公布された。 データの不正取得·使用の禁止に関する規定は2022年4月20日から施行され、有名人の肖像·氏名等の無断使用禁止規定は2022年6月8日から施行される。 1.有名人の肖像·氏名等の無断使用行為を不正競争行為として新設 有名人の肖像·氏名等パブリシティ権保護のための規定が新設された。 近年『イカゲーム』、BTSなど韓流の影響力が急速に拡大する中、このようなコンテンツを利用した製品やサービスも多様化している。アイドル歌手の肖像や署名が刻まれた飲み物、有名俳優を連想させるイメージが使われる広告が毎日新たに登場している。同時に韓流スターの肖像·氏名等を無断で使用した違法商品、サービスが相次いで生まれているというのも現状である。 このような無断使用行為は、国内のエンターテインメント産業従事者が長年積み重ねて来た努力、費用にただ乗りする行為である。しかし、これまで国内ではこのような不法行為を適切に規律できる規定が不十分であった。 憲法、民法に基づき、有名人の肖像·氏名等の無断使用行為を一部制裁できるが、これは肖像·氏名等を人格権として保護するものであるから、精神的被害についてのみ保護可能である。その結果、有名スポーツ選手、映画俳優の肖像·氏名等を広告などに無断で使用しても、被害者は実際に発生した被害よりもはるかに少ない金額の賠償を受けることになるなど、財産的被害に対しては適切な保護がなされていなかった。 改正された不正競争防止法によると、有名人の肖像·氏名等を無断で使用して経済的被害を引き起こす場合、それに対して差止請求·損害賠償請求等の民事的救済措置及び特許庁の行政調査·是正勧告等の行政的救済措置が可能である。 2.データの不正取得·使用行為を不正競争行為として新設 今回の不正競争防止法改正案には、取引目的で生成したデータを不正に取得·使用する行為を不正競争行為として規律する内容も含まれている。デジタル時代において、金融資本に比肩する必須資源として浮かび上がっているデータを安心して取引できる保護基盤を拡充するためのものである。 改正案によると、データの不正取得·使用行為の被害者は差止請求·損害賠償請求、特許庁の行政調査·是正勧告などの救済措置を利用できる。改正案は、来年4月20日から『データ産業振興及び利用促進に関する基本法』と同時に施行される。 データ自体に独占的な権利を与えると利用が萎縮し、まだ育成段階にあるデータ産業の発展を阻害するおそれがあるため、改正法は、取引を目的として蓄積·管理したデータの不正取得·使用行為のみを不正競争行為として新設し、データ保有者が保護を受けられるようにした。
韓洋国際特許法人は、2021年10月1日付で李承龍弁理士をパートナーとして迎え入れましたので、ご案内いたします。 李承龍弁理士は商標、デザイン、不正競争法律分野において20年以上の弁理士業務経歴を有し、 以下の略歴に記載のように韓国商標学会会長、大韓弁理士会首席副会長、国際知的財産保護協会(AIPPI)商標Committee Memberなど、様々な分野で積極的に活動しております。 李承龍弁理士を迎え入れることで弊法人のお客様により良いサービスを提供できるものと考えております。 李承龍弁理士の略歴は以下の通りです。 李承龍パートナー弁理士 - ソウル大学校ドイツ語教育科(1986) - 韓国教員大学校大学院ドイツ語教育科(1997) - 崇実大学校 情報通信電子工学部 (2002) - ドイツ·マックスプランク研究所 知的財産権法 修士(LL.M.)(2007) - 起亜自動車(1986~1989) - 高校教師(1989-1998) - 弁理士試験合格(1997) - 朴壯源特許法律事務所 (1998-2002) - LEE&MOCK特許法人(2002-2021.8) - 韓国商標デザイン協会国際理事(2011-2016) - 明知大学法科大学講師(2012) - 特許庁商標政策諮問委員(2012) - 韓国商標学会会長(2014) - 大韓弁理士会企画理事(2014-2016) - 大韓弁理士会商標デザイン著作権分会分会長(2017-2019) - インターネットアドレス紛争調停委員会調停委員(2017-2019) - 大韓弁理士会首席副会長(2018-2020) - 南北知的財産権交流協力及び統一研究特別委員会委員長(2018-2020) - 韓国知的財産学会理事(2020-現在) - 韓国国際知的財産保護協会(AIPPI-Korea)理事(2011-現在) - 国際知的財産保護協会(AIPPI) 商標Committee Member (2015-現在) - アジア弁理士会(APAA)著作権Committee Member (2015-現在) - 「チャイソン」登録無効、商標の技術的標章認定(特許法院) - 「アセア」拒絶不服、使用による識別力認定(特許法院) - 「バイアグラ錠剤デザイン」登録無効、公知デザイン類似(特許審判院) - 「Buckingham」無効審決の取消、顕著な地理的名称の否定 (特許法院) - 英陽郡「ホタル」無効審決の取り消し、地域広報事業とホタル生態公園の業務非類似(特許法院) - 「五福菜」登録無効、食品名称の慣用標章認定(特許法院、大法院) - 「PTC」拒絶不服、半導体素子とソフトウェアの商品非類似(特許法院、大法院) - 「Golden Gate」拒絶不服、顕著な地理的名称の否定(特許法院)
特許法·商標法·デザイン保護法の改正案が2021年9月29日に国会本会議を通過した。 10月中に改正法律案が公布される予定で、公布後6か月を経過した日から施行される。主な改正内容は、以下の通りである。 1.(特·商·デ共通)拒絶決定不服審判の請求期間を現行の30日から3か月に延長 拒絶決定不服審判の請求期間が現行の30日から3か月に延長される。米国、日本、中国等の主要国における拒絶決定不服審判の請求期間が3か月であることを勘案し、出願人に審判請求について十分な準備期間を与えるためである。 2.(特·商·デ共通)消滅した権利の回復要件の緩和 書類提出、手数料納付等の期間の経過により権利が消滅した場合、現行法では、出願人の「責めに帰すことができない事由」で権利が消滅した場合は、2か月以内に手続の追完を認めている。しかし、実務上「責めに帰すことができない事由」と認められた事例がなく、権利回復が事実上不可能であった。 改正法では、「責めに帰すことができない事由」を「正当な事由」に変更した。例えば、新型コロナウイルス感染により突然入院し、出願人が手続きを進められなかった場合などは、「正当な理由」として認められ、消滅した権利の回復申請が可能になるものと考えられる。 3.(特許)拒絶決定不服審判の審決後、分離出願制度の新設 請求項の一部は特許が可能で、残りの請求項に拒絶事由がある場合でも、韓国特許実務では特許出願全体が拒絶決定となる。現行法では、審判請求後は請求項の補正や分割出願が不可能なため、このような拒絶決定に対して拒絶決定不服審判を請求したが審判請求が棄却された場合には、審査官が特許可能と既に判断した一部の請求項についても特許を受けられる方法がなかった。 改正法では、審判で拒絶決定が維持(棄却審決)されても、登録可能な請求項のみを分離して特許出願できる分離出願制度を新たに導入した。 4.(商標·デザイン)登録決定後の職権再審査制度の導入 登録決定となった商標·デザイン登録出願が設定登録される前に審査官が明白な拒絶理由を発見した場合、登録決定を取り消し、職権で再審査できる制度を新設した。無効事由のある弱い権利の発生を事前に遮断するためのものだ。 特許出願については、2016年に上記と同様の条項を新設したが、特許決定後に職権再審査された事例はほとんどないようだ。
- 大法院2021.3.18.宣告2018ダ253444全員合議体の判決を中心に 商標権者は登録商標について独占的使用権を有する。ところが、商標法第92条は、登録商標の使用が先に出願された他人の特許権・実用新案権・デザイン権、先に発生した著作権と抵触する場合、先権利者の同意を得なければならないと規定して、商標権者の積極的効力を制限している。しかし、上記第92条の規定は、商標権と商標権が抵触する場合を規定していないので、先願登録商標と同一・類似の後願登録商標の商標権者が先願商標権者の同意を得ずに自分の登録商標を使用した場合、先願登録商標の侵害に該当するか否かが問題となる。 1.過去の大法院の立場 商標権と商標権が互いに抵触する場合、後願登録商標権者が先願登録商標権者の同意なしに自分の登録商標を使用した場合でも、先願登録商標の侵害を構成しないものとみていた。(大法院86ド277判決) ただし、後願登録商標が無効審判により無効確定した場合、当該商標権は初めからなかったものとみなすため、後願商標権者の使用行為は最初の使用時点に遡及して侵害に当たることになる。大法院の判例は、後願登録商標が無効確定した場合、①民事事件においては、被告が原告商標権の存在を知らなかったという点を正当化できる事情があることや、自分が使用する商標が原告登録商標の権利範囲に属さないと信じた点を正当化できる事情があるということを別途主張・証明できない以上、「最初の使用時点」から不法行為による損害賠償責任を負うと判示しており(大法院2013ダ21666判決)、②刑事事件においては、「無効審決確定後」の行為について刑事侵害罪を認めていた(86ド277判決)。 2.大法院2018ダ253444全員合議体の判決 (1)事実関係 (2)判決要旨 商標法は出願日を基準として抵触する商標間の優先順位が決定され、これに違反して登録された商標は登録無効審判の対象となる。また、商標法第92条では、登録商標の使用が先に出願された他人の特許権・実用新案権・デザイン権、先に発生した他人の著作権と抵触する場合、先特許権等の権利者の同意を得ずにはその登録商標を使用することはできないと定めているため、後願商標権者が先特許権等の権利者の同意を得ずにその登録商標を指定商品に使用すると、先特許権等に対する侵害が成立する。 このような商標権の効力や先願主義、他人の権利との関係等に関する商標法の規定・趣旨に鑑みると、商標法は、抵触する知的財産権の相互間で先願又は先発生の権利が優先することを基本原理としていることが分かり、これは商標権間の抵触関係にもそのまま適用されると見るのが妥当である。したがって、商標権者が商標登録出願日前に出願・登録された他人の先願登録商標と同一・類似の商標について登録を受け、先願登録商標権者の同意なしにこれを先願登録商標の指定商品と同一・類似の商品に使用した場合、後願登録商標に対する登録無効審決の確定如何にかかわらず、先願登録商標権に対する侵害が成立する。 3.検討 今回の大法院判決は、従来の大法院判決のうち、「後願登録商標を無効とする審決が確定するまでは、先願登録商標権に対する侵害とはならない」という部分を変更しただけであり、他の判決を変更したものではない。したがって、無効審決が確定した後の取扱いについては従来の判決に従うものとみなすのが妥当であろう。これを要約すると、次のようになる。 今後、先願登録商標と類似性の高い後願登録商標の商標権者は、もし紛争が発生した場合、自分の商標の使用が無効と確定判決を受ける前でも、従来とは違い侵害が成立する可能性があるだけに、重大な事業展開に際しては、(1)敗訴時に発生する被害に耐え得るかどうかについて事前に検討し、(2)もしもの場合、相手の同意書を得ることができるかどうかなどについて綿密に判断して、なるべく大きな被害が発生しないように十分な注意を払うべきであり、それができない場合は、最初から紛争が発生する可能性が高い商標は、仮に登録されていたとしても使用しない方が安全であると言える。
韓洋国際特許法人は2021年4月1日付で金光恩を中国弁理士として迎え入れましたので、ご案内致します。 金光恩中国弁理士は韓国で電気電子工学の修士号を取得し、韓国企業での勤務経験があり韓国語が流暢であり、更に韓国特許業界での勤務経験も豊富で、中国語関連の業務に関してお客様に最高のサービスを提供できるものと考えております。 学歴 中国延辺科学技術大学校 電子電算科 工学士 (1998) 韓国延世大学校 電気電子工学科 工学修士 (2005) 2014年中国弁理士試験合格 経歴 (株)サムスン電子中国支社通信装備構築(1998) (株)ティーマックスソフト研究所 (2007) GE研究所医療情報システム(2010) 韓国特許業界に勤務(2015~現在) 使用言語:中国語(native)、韓国語(native)、英語
韓洋国際特許法人は2021年3月2日付で安耕模弁理士をパートナー弁理士として迎え入れましたので、ご案内致します。 安耕模弁理士は、1993年弁理士試験に合格し、Kim and Chang法律事務所, 中央国際特許法律事務所などで電気/電子/機械および日本担当弁理士として特許業務を担当してきました。電機電子及び機械特許出願事件, 半導体メモリー特許権ライセンス交渉、二次電池特許権ライセンス交渉、レーザープリンター特許侵害訴訟、ゲーム機器特許侵害訴訟及び交渉、その他特許侵害事件及び交渉事件を担当し、慶応大学及び日本半導体大手企業で日本語及び日本特許実務の研修を行いました。今後、日本のお客様により品質の良いサービスをご提供できるものと考えております。 安耕模弁理士の簡単な略歴は以下の通りです。 安耕模パートナー弁理士 - ソウル大学校 材料工学科 - 1993年 弁理士試験合格 - Kim & Chang 法律事務所 - 中央国際特許法律事務所 - 韓国科学技術院(KAIST) - 慶応大学及び日本半導体大手企業での日本語及び日本特許実務研究
(商標法・デザイン保護法・不正競争防止法・特許法の改正:2021年4月施行) 商標法、デザイン保護法、不正競争防止法および特許法の改正案が国会を通過して、2021年4月から施行されます。 以下、その要旨をまとめてみました。 1. 商標およびデザイン権侵害に対する3倍賠償制度の導入 商標法およびデザイン保護法が改正され、故意に商標権やデザイン権を侵害した場合、損害と認められた金額の最大3倍まで賠償するようにする懲罰的賠償制度が導入されます。2018年に特許法と不正競争防止法に導入された特許権または営業秘密の侵害に対する懲罰的損害賠償制度を商標とデザイン分野にまで拡大することになります。 2. 商標権およびデザイン権の侵害に対するロイヤリティ算定基準の改正(「通常」→「合理的」) 商標権とデザイン権侵害の際、ロイヤリティによる損害額の算定基準を「通常受けることができる金額」から「合理的に受けることができる金額」に改正しました。今後、ロイヤリティ認定料率が上昇すると予想されます。 3. 商標権侵害に対する法定損害賠償額の引き上げ(5千万ウォン→1億ウォン、故意の場合3億ウォン) 2011年商標法に導入された法定損害賠償制度の上限を5千万ウォンから1億ウォン(故意に侵害した場合には、3億ウォン)に引き上げました。これは制度導入以降、韓国内の商品取引市場の拡大、物価上昇の要因等を考慮し、3倍賠償制度と共に商標権保護の実効性を高めるためのものです。 損害賠償請求は、商標権者が侵害と損害額を証明しなければならないが、法定損害賠償は、侵害さえ立証すれば、裁判所が法定額内で損害額を算定することができる制度であって、商標権者の立証責任を緩和したものです。 4. アイデア奪取行為による損害に対して、最大3倍まで補償するようにする懲罰賠償制度の導入 不正競争防止法が改正され、アイデア奪取行為による損害に対して、最大3倍まで補償するように規定されました。また、不正競争行為に対して是正勧告に従わなかった場合、違反の事実を公表することができるようにし、行政調査と是正勧告の実効性を高めるようにしました。 5. 特許侵害罪を親告罪から反意思不罰罪に転換 被害者の告訴がなくても、特許権侵害行為に対する処罰ができるようにする特許法改正案が国会を通過しました。現行の特許法上の特許侵害罪は、特許権者の告訴がなければ、特許権侵害の捜査ができない「親告罪」に当たり、侵害行為があった日から6ヶ月以内に告訴しなければなりません。 改正法では、特許侵害罪が特許権者の告訴がなくても、職権捜査が可能な「反意思不罰罪」に改正されました。ただし、反意思不罰罪は、権利者が侵害者の処罰を望まない場合、起訴することができません。 今まで知的財産権侵害が根絶できていない理由について、知的財産に係る対価を支払うよりも侵害を通じて得る利益が大きいからだという指摘が多くありました。知的財産保護の実効性を強化するため、特許侵害に先に導入された「懲罰賠償」制度を商標およびデザイン侵害、アイデア奪取行為にまで全方位的に適用するようになれば、知的財産全般の保護レベルがより一層高くなると考えます。 キム・ヨンレ特許庁長は「今回の改正で、知的財産権侵害に対する厳正な法執行が可能となることにより、今後、市場で知的財産が正当な対価をもらい公正に取引され得る基盤が固められた。」としながら「今回の改正をサポートできるように、特許法に先に導入された『損害額算定方式の改善』はもちろん、『中小企業の特許保護の証拠収集制度の導入』も速やかに推進する」と述べました。
韓国の特許法改正案が2020年5月20日国会を通過し、2020年12月から施行される。 改正案の主な内容は、特許侵害に対する損害賠償の規定を特許権者に有利に改正するというものである。 現行の特許法で、損害賠償請求額は、侵害者が販売した侵害品の数量に、特許権者の単位数量当たりの利益の額を乗じて計算する。但し、特許権者の最大生産能力を、その限度としている。 例えば、特許権者の製品生産能力が100個の場合、侵害者が10,000個の侵害製品を市場に販売しても、特許権者は本人の生産能力(100個)を超えた9,900個の製品については損害賠償を受けることができない。 改正法が施行されると、特許権者は、これまで損害賠償を請求できなかった残りの9,900個についても、特許発明の実施に伴う実施料を侵害者から受け取ることができる。 これを簡略にまとめると、以下の通りである。 * (現行法) 特許権者の生産能力範囲×単位当たりの利益の額 ** (改正法) (特許権者の生産能力範囲×単位当たりの利益の額)+(生産能力範囲の超過分×合理的実施料率) 損害額の範囲を拡大する今回の特許法改正と、昨年7月から施行している故意の特許権侵害に対する3倍賠償制度によって、特許侵害に対する損害賠償額は大きく増額されることが予想される。 一方、韓国特許庁は、特許侵害訴訟の過程で特許侵害および損害についての立証資料を特許権者がより簡単に確保できるように、韓国型ディスカバリー制度を導入することを進めている。
ソフトウェア発明に関する特許権の保護を強化した改正特許法が2019年12月10日に公布され、2020年3月11日から施行される。 1.改正理由と主な内容 現行の特許法は、コンピュータのソフトウェアのプログラムを物として認めておらず、ソフトウェアなどに関する方法の発明である場合、その方法を使用する行為のみを発明の実施と規定しており、情報通信網を介してソフトウェアを送信する行為は、発明の実施に該当せず、保護することができなかった。 よって、改正法では、方法の発明である場合に、その方法の使用を申し出る行為を発明の実施に含まれるようにした。ただし、特許侵害を構成するためには、「その方法の使用が特許権又は専用実施権を侵害していることを知りながら、その方法の使用を申し出る」場合のみに該当する。 2.改正法の規定 改正法で方法の発明の実施とは「その方法を使用する行為、またはその方法の使用を申し出る行為」と規定された。 特許権の効力規定では、「特許発明の実施が方法の使用を申し出る行為である場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権又は専用実施権を侵害することを知りながら、その方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。」という規定が新設された。 3.コメント 現行の韓国特許法では「コンピュータプログラム」それ自体を物として認めておらず、コンピュータプログラムに関する請求項は認められない。コンピュータプログラムに関する請求項は「コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されたコンピュータプログラム」の形で記載しなければならない。 特許権を侵害するコンピュータプログラムをオンラインで送信する行為を規制するために、今回の改正法では、方法の発明の「使用の申出」を発明の実施の概念に含むように改正した。「方法の発明の使用の申出」とは、「方法の発明を使用できるようにするすべての行為」を含み得るため、ソフトウェアのオンラインでの送信は「方法の発明の使用の申出」に含まれる。 今回の改正法は、「方法の発明の使用の申出」を発明の実施の形態の一つとしてすでに規定しているイギリス、ドイツ、フランスの特許法を参照したものである。 同改正法について、イギリス、ドイツ、フランスでも、上記の規定に基づく判例があまりなく、改正された規定がソフトウェアの方法の発明だけでなく、すべての方法の発明に適用されるため、不合理な状況が発生し得ると非難する意見もある。 とはいえ、改正法により、情報通信網を介してソフトウェアを送信する行為を特許侵害で制裁するためには、コンピュータプログラムに関する方法の請求項は必須である。
1.はじめに ゲームの創作性を判断するときに、各構成要素の創作性だけでなく、制作意図とシナリオなど、全体的に他のゲームと区別される創作性があるかどうかを判断しなければならないと、大法院(最高裁)が初めて判決を下した。モバイルゲームの著作権侵害訴訟事件で創作性の判断基準を具体的に提示した最初の判決である。 大法院は、「原告のゲームは、先行ゲームと区別される創作的個性を有しており、著作物保護の対象になり得る」とし「被告のゲームは、原告のゲームの製作意図とシナリオが技術的に具現化された主な構成要素の選択と配列および有機的な組み合わせによる創作的な表現形式をそのまま含んでいるので、両ゲームは、実質的に類似しているとみることができる」と判断した。 2.事件の背景 (1)2013年4月、King.comは、Farm Heroes Sagaを発売して多大な人気を博した。 その後、2014年1月に Avocado Entertainment がFarm Heroes Sagaに似たForest maniaを発売した。King.comは、同ゲームが自社のFarm Heroes Sagaを盗作したものと主張し、2015年に訴訟を提起した。 両ゲームは、いずれも同じ形状のタイルを3つ以上直線でつなげて消したら、その数だけそのタイルの点数を獲得する方式である。King.comは「ゲームのルールの組み合わせ、新規のルールを紹介するステップ、ゲームのビジュアルデザインなどは、著作権法上の保護対象である創作物に該当する」 とし「Forest maniaは、Farm Heroes Sagaをそのまま模倣したものである」と主張した。 (2)本事件は、訴訟提起当時からゲーム業界やゲームユーザーの関心を集めた。数多くのゲームが制作される過程で、類似のゲームが登場して、著作権侵害や不正競争行為の問題が生じてきたからである。 (3)原告のゲームと被告のゲームの主なインタフェースは、以下の通りである。 (イ)原告(King.com:Farm Heroes Saga)のゲーム (ロ)被告( Avocado Entertainment:Forest mania)のゲーム 3.法院の判決 (1)地方法院(地方裁判所)の判決 地方法院は、Forest maniaはFarm Heroes Sagaの著作権を侵害していないと判断した。しかし、ゲームのルールと進め方が類似しているので、不正競争防止法に違反していると判断し、11億6811万ウォン(約1億84万円)の損害賠償という判決を下した。 (2)高等法院(高等裁判所)の判決 2審では、著作権法違反、不正競争防止法違反、民法上の不法行為にいずれも該当しないと判断して、原告のすべての請求を棄却した。 (3)大法院の判決 (イ)裁判では、King.comが開発したゲームが、創作性を持つ著作物として保護を受けることができるかどうかと、Avocado Entertainmentのゲームと実質的に類似しているかが争点になった。 (ロ)裁判部は、「King.com が開発した『Farm Heroes Saga』は、ゲーム開発者がこれまで蓄積したゲーム開発の経験と知識に基づいて、ゲームに必要な要素を選択して、自社なりの製作意図に応じて配列・組み合わせた」とし「King.comのゲームは、個々の構成要素の創作性を認めるかどうかは別としても、特定の製作意図とシナリオに基づいて、技術的に具現化された主要な構成要素が選択・配列されて、有機的な組み合わせを成し、先行ゲームと明確に区別される創作的個性をもつことにより、著作物として保護の対象になり得る」と説明した。 (ハ)また、「Avocado Entertainmentのゲームは、King.com側のゲームの制作意図とシナリオが技術的に具現化された主要な構成要素の選択と配列および有機的な組み合わせによる創作的な表現形式をそのまま含んでいるので、両ゲームは実質的に類似している」と指摘した。 4.コメント 今回の判決は、モバイルゲームの創作性の判断基準を具体的に判示した最初の判決であり、先行ゲームと区別される創作的個性を認め、著作権の侵害を認めたものである。ゲームのルール自体はアイデアに該当し、著作権法による保護を受けることはできないとの見解が優勢であったし、実際の事件でもゲームの著作権侵害を認めた判決はなかった。 今回の判決は、今後、ゲームに関する著作権等の侵害差止事件で重要な判断基準として作用することが期待され、著作権などの知的財産権の保護を強化する傾向を反映したものと思われる。
1.判決の要旨 (1)韓国特許法では、「利害関係人または審査官は、無効審判を請求することができる。」と規定している。ここでいう利害関係人とは、当該特許発明の権利存続により、法律上の何らかの不利益を受けたり、受ける恐れがあり、その消滅について直接的かつ現実的な利害関係を持つ者のことであり、これには、当該特許発明と同じ種類の物品を製造・販売したり、製造・販売する者も含まれる。この法理によれば、特段の事情がない限り、特許権の実施権者が特許権者から権利の対抗を受けたり、受ける恐れがないという理由だけで、無効審判を請求することができる利害関係が消滅したとみることはできない。 (2)特許権の実施権者は、実施料の支払いや実施範囲など、いくつかの制限をされることが一般的なので、実施権者は、無効審判でもって特許に対する無効審決を受けることにより、こうした制約から逃れることができる。そして、特許に無効理由があったとしても、それに対する無効審決が確定するまでは、その特許権は有効に存続し、むやみにその存在を否定することはできず、無効審判を請求しても無効審決が確定するまでは、相当の時間と費用がかかる。こうした理由から、特許権に対する実施権の設定のない実施を望む者でも、まず、特許権者から実施権の設定を受け、特許発明を実施し、その無効当否について後で争うこともできるので、実施権の設定を受けたという理由で、特許の無効当否について争わないという意思を示したものと断定することはできない。 (3)これとは違って、実施権者という理由だけで無効審判を請求することができる利害関係人には該当しない、という趣旨で判示した大法院1977.3.22言渡76Hu7判決、大法院1983.12.27言渡82Hu58判決をはじめとする同趣旨の判決は、この判決の見解に背馳する範囲内で、これをすべて変更することとする。 2.事件の背景および該当特許 (1)原告(株式会社IBEX PTホールディングス)は、名称を「AMVPモードでの映像符号化方法」とする本件特許発明(特許第1492105号)の特許権者であり、動画関連の標準パテントプールであるMPEG LA(www.mpegla.com)の「HEVC Patent Portfolio License」プログラム(以下「HEVCライセンスプログラム」という。)に、本件特許権を登載してライセンサー(Licensor)として登録されている。 (2)被告(サムスン電子株式会社)は、HEVCライセンスプログラムに自社の特許権を登載したライセンサー(Licensor)であると同時に、上記のパテントプールのリストにある特許発明を実施する権利を有するライセンシー(Licensee)として登録された者であり、本件特許発明のような種類の動画圧縮技術を使用した映像関連製品を製造・販売する者である。 (3)本件特許発明に対する無効審決が確定する場合、HEVCライセンス(license)契約第6.1条により原告とMPEG LAとの間の契約は失効し、本件特許発明は、HEVCライセンスプログラムから除外されるため、被告としては如何なる制約なしに、本件特許発明を実施することができるようになる。 (4)被告は、当該特許発明において明白な無効理由(拡大された先願規定に違反)が存在することを発見し、特許無効審判を請求した事件である。 3.コメント (1)今回の判決により、標準特許に対してロイヤリティを支払うライセンシーが特許無効審判を請求する事例が増加することが予想される。 (2)特許権者の立場で、実施権者との特許の無効紛争を防止するために、ライセンス契約書に「不争条項」を設けることを強く推奨する。例えば、「実施権者は、特許の有効性を認め、特許に対する無効の主張をしない」という条項を設けるのである。「不争条項」の有効性についても争いの可能性はあるが、現実的には最も効果的な方策と考えられる。