韓国の国会は、2018年12月7日、本会議を開いて、特許法および商標法、デザイン保護法、営業秘密保護に関する法律の一部改正案を可決した。
今回の改正案は、▲特許および営業秘密の侵害に対する懲罰的損害賠償制度の導入▲特許(商標、デザイン)審判での国選代理人選任の根拠の設定などを主な骨子としている。これにより、来年6月から特許権、専用実施権や営業秘密の侵害行為が故意である場合、損害として認められた金額の3倍以内で賠償額を定めることができる。改正案の主な内容は、以下の通りである。
1.特許法の改正
イ.国選代理人選任の根拠の設定など(案第139条の2)
特許審判で国選代理人選任の根拠を設け、国選代理人選任事件についての手数料を減免する。
ロ.懲罰的損害賠償制度の導入(案第128条第8項および第9項)
特許権または専用実施権の侵害行為が故意であると認められる場合、損害として認められた金額の3倍を超えない範囲で賠償額を認めることができるようにするが、侵害行為が故意かどうかを判断する際は、侵害者の優越的地位の有無、故意の程度、侵害行為の期間および回数、侵害行為により侵害者が得た経済的利益の程度などを考慮するようにして、特許権または専用実施権の侵害による被害の救済を強化させる。
ハ.実施料賠償規定の改正(案第65条第2項等)
特許出願された発明や特許権などの侵害者に請求できる実施料賠償金額を、「通常」受けることができる金額から、「合理的に」受けることができる金額へと変更する。
ニ.具体的行為態様の提示義務を新設(案第126条の2)
特許権者または専用実施権者が主張する侵害行為の具体的な行為態様を否定する当事者が、自身の具体的な行為態様を提示するようにする。
2.不正競争防止および営業秘密保護に関する法律の改正
イ.営業秘密の要件を緩和(案第2条第2号)
一定の要件を備えた生産方法、販売方法、および営業活動に有用な技術上または経営上の情報が、合理的な努力によって秘密に保持されてこそ営業秘密として認められていたものを、合理的な努力がなくても秘密に保持されれば、営業秘密として認められるように、営業秘密の認定要件を緩和する。
ロ.懲罰的損害賠償制度の導入(案第14条の2第6項および第7項の新設)
営業秘密の侵害行為が故意であると認められる場合には、損害として認められた金額の3倍を超えない範囲で賠償額を認めることができるようにするが、営業秘密の侵害行為が故意かどうかを判断する際は、侵害者の優越的地位の有無、故意の程度、侵害行為の期間および回数、侵害行為により侵害者が得た経済的利益の程度などを考慮するようにして、営業秘密の侵害による被害の救済を強化させる。
ハ.営業秘密の侵害行為等に対する罰則強化(案第18条第1項および第2項)
不正な利益を得たり、営業秘密の保有者に損害を与える目的で、営業秘密を指定された場所から無断で流出したり、営業秘密の保有者から営業秘密の削除または返還要求を受けても、これを継続して保有する行為なども営業秘密の侵害行為として処罰するようにする。また、営業秘密の侵害行為に対する罰則を、従来は、原則として、営業秘密を外国で使用したり、外国で使用されるものであることを知りながらも行った場合には、10年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金、それ以外の場合には、5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金にしていたものを、今後、それぞれ15年以下の懲役または15億ウォン以下の罰金、10年以下の懲役または5億ウォン以下の罰金に引き上げる。
ニ.営業秘密の侵害の予備、陰謀犯に対する罰金の引き上げ(案第18条の3)
営業秘密の侵害行為の罪を犯す目的で、予備または陰謀した者に対する罰金額を引き上げる。