ソフトウェア発明に関する特許権の保護を強化した改正特許法が2019年12月10日に公布され、2020年3月11日から施行される。
1.改正理由と主な内容
現行の特許法は、コンピュータのソフトウェアのプログラムを物として認めておらず、ソフトウェアなどに関する方法の発明である場合、その方法を使用する行為のみを発明の実施と規定しており、情報通信網を介してソフトウェアを送信する行為は、発明の実施に該当せず、保護することができなかった。
よって、改正法では、方法の発明である場合に、その方法の使用を申し出る行為を発明の実施に含まれるようにした。ただし、特許侵害を構成するためには、「その方法の使用が特許権又は専用実施権を侵害していることを知りながら、その方法の使用を申し出る」場合のみに該当する。
2.改正法の規定
改正法で方法の発明の実施とは「その方法を使用する行為、またはその方法の使用を申し出る行為」と規定された。
特許権の効力規定では、「特許発明の実施が方法の使用を申し出る行為である場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権又は専用実施権を侵害することを知りながら、その方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。」という規定が新設された。
3.コメント
現行の韓国特許法では「コンピュータプログラム」それ自体を物として認めておらず、コンピュータプログラムに関する請求項は認められない。コンピュータプログラムに関する請求項は「コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されたコンピュータプログラム」の形で記載しなければならない。
特許権を侵害するコンピュータプログラムをオンラインで送信する行為を規制するために、今回の改正法では、方法の発明の「使用の申出」を発明の実施の概念に含むように改正した。「方法の発明の使用の申出」とは、「方法の発明を使用できるようにするすべての行為」を含み得るため、ソフトウェアのオンラインでの送信は「方法の発明の使用の申出」に含まれる。
今回の改正法は、「方法の発明の使用の申出」を発明の実施の形態の一つとしてすでに規定しているイギリス、ドイツ、フランスの特許法を参照したものである。
同改正法について、イギリス、ドイツ、フランスでも、上記の規定に基づく判例があまりなく、改正された規定がソフトウェアの方法の発明だけでなく、すべての方法の発明に適用されるため、不合理な状況が発生し得ると非難する意見もある。
とはいえ、改正法により、情報通信網を介してソフトウェアを送信する行為を特許侵害で制裁するためには、コンピュータプログラムに関する方法の請求項は必須である。